2002/10/20 日曜日

カブトムシ


「カブトムシ」を包むふたりのひとに出会ったのは何年前だろう。
3年前?4年前?
そんなに遠いことではないのに、どうして思い出せないんだろう。



歌が好きなあなた。上手なあなた。
aikoの「カブトムシ」の着メロを送ってくれたあなた。
夜遅くに高速道を飛ばして会いに来てくれた。
クルマの中で月の灯りを頼りにあなたを見つめてた。

大きなカラダであたしを包んでくれた。
大樹にすがるあたしはカブトムシ。
それを隣から見つめていたくせのある声の若い樹。

幸せを感じていたはずの大樹の影。

大きな樹のやすらぎが薄らいできたと感じたあたしは、大きな樹から離れた。
新たな安息の樹を求めて。

「こっちにおいでよ。ずっと君のことを見ていた」

カブトムシに呼びかけるくせのある声。
以前から気になっていた隣の樹。
甘い蜜の香りを漂わせ、くせのある声で惹きつける。
大きくはないけれど、安心して掴まってていいよと言ってくれた樹。
やすらげる…樹。

ずっと掴まっていた。しがみついていた。
離れないように、放さないように。
「放さないでね」「放さないよ」
そう言ってくれた若い樹。
それを信じていた。

遠く離れていたふたつの樹。遠くまで飛んでいけないカブトムシ。
心もカラダも力尽きたカブトムシは羽をたたみ飛ぶことをやめた。
楽しかった想い出を胸に秘めて。



カブトムシの寿命は1年。ふたつの樹の前では1年ももたなかった。
もっと生きていたかったけれど距離の壁は越えられなかった。

今は違うふたつの樹のカブトムシ。現在の命は2年余り。
はるかに寿命を超えている。
でも寿命が尽きる時間は刻々と近づいている。ここまで生きてこられて幸せと思うべきなのか、それとももっと樹に寄り添っていたいと願い続けるべきなのか。

答えが出ない。
今年いっぱいで命尽きるはずのカブトムシ。


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