似非女王様

ある日の午後のこと。
ツーショットで「苛められるのが好きなんです」という男性とあたった。
「女性にいろいろ命令して苛めたい」男性には何故かよく当たるけれど、逆のパターンは今回が初めてだった。
内心かなり焦りまくりで、でもそれを悟られないように会話を始める。

「ふーん…苛めて欲しいの？」
「…はい」

そこまでは誰でもできる。問題はそのあとだった。
キツイ言葉を浴びせればいいと思った瑞穂は、とんでもないボケをかましてしまった。

「どんな仕事してるの？」
「営業です」
「ふーん、営業ちゃんとできてるの？ちゃんと契約取ってきてるの？」

――ガチャッ。

あとから事務局のひとに笑われてしまった。
よく考えたら、自分がいつもされてることを逆に男性にすればいいだけなのに。初めてのことで頭の中が真っ白になってたみたい。

あれから「苛めて欲しい」という男性には当たったことがないけれど、もしもあたることがあれば今度はちゃんとしなきゃ＾＾；