"in the moon"

今でも引きずってる、心のどこかにある、男友達の存在。大きかった。

何年前に会ったのだろう、離婚して2年めだったかもしれない、冬だったのは覚えている。確か1月。「通い合う心」で書いた、11歳年下のひと。彼を好きだったけど、それと同じくらい、もしかしたらもっと、好きで依存していたかもしれない。

「えっち目的でなく、引き出しをたくさん持ってるひとに出会いたい」

その言葉から始まったツーショットの会話は、ポイントがなくなるまで1時間、その後は家の電話で1時間半。その時「会おうか」と言われた。
そんなこと言っても、結局会ったらホテルに行こうかとか言われるんだろうなという予感は見事に裏切られ、閉店間際のファミレスでお茶をしてその日は終わった。

その後月1は必ず会っていたと思う。多いときは毎週。
波長が合っていたのだろう。「カラダにハマっている」と言われたのは複雑だったけど、それは言わなくても感じ取れていた。それだけじゃない、気持ちが通じてないとダメだよね、とお互い確認もした。

私の深い部分を見抜いていたのも、あのひとだった。

瑞穂は積極的で淫乱でワガママ。
○○(本名)は泣き虫でワガママ。
同じ「ワガママ」でも、瑞穂のそれは「小悪魔的」で、○○のそれは「思春期的」。
ふたりの女性を相手にしてるみたい。かといって、二重人格、というのとも違うね。


そんなことを言ってた。
ずっと淋しいとすがってた私に、あのひとは応えてくれた。
受け入れるばかりでない、きちんと境界線を引いて接してくれてた。会えないことが続くのは辛かったけど、仕事の関係で都合がつかない時以外はなるべく時間を作ってくれてた。

2年あまり経った頃、もしかしたらここを離れるかもしれないと聞いた。仕事や実家の絡みで。
そうなるまで、どのくらいかかるのかはわからなかった。そんなに遠くない話であることははっきりしていた。

ずっとあった安定が突然消える。
男友達の気持ちを聞いてみたこともあった、はっきりした答えはもらえなかったけど、複雑な思いだったのだと思う。私を傷つけないように、隠したのかもしれない。

次はいつ会える、次はあるのかどうか。
毎日苦しい思いで電話やメールを待った。何度か「会いたい」とメールをした。「悩んでいることがあって、今は会える状態じゃない」と返ってきた。
相談してもらえない立場が哀しかった。力になれない。
必要とされてないのかなと感じてしまった。

「突然だけど、今日会える?」
ずっと待ってたメールが来た。嬉しかった。それが最後になると知らずに。

元カノとよりを戻すことを知らされた。悩んでたのはそのことだったと。
泣いて泣いて泣いて…身を引いた。
本当に好きだった。頼ってた。会えることが嬉しかった。

「月が好き」と云ったあのひと。
今でも月を見ると、あのひとのことを思い出す。

in the moon
あのひとと私だけに通じる言葉。


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