Over The Distance

料金が高そうだからと、二の足を踏んでいた携帯電話。いろいろ調べて思ったほど高くないことを知り、時代遅れだなと思いつつ携帯の新規契約をした。

ある男性から「ここはサクラがいないから、返事がいっぱい来るよ」ととある有料サイトを教えてもらった。
誰かと一緒にいないと落ち着かない、そんな状況だった。

「会えるひとを探しています。気が合えば、身体の関係もアリです」
私にしては、かなりストレートな投稿だった。じっくりメールから始めていかないとダメなのに。今思えば、かなり荒んでいたのだろう。

様々なひととメールをした。住んでる場所が違うというだけで、同じ市内でないという理由でメールが終わったひともたくさんいた。

同じ市内でなくても、そんなに遠くないから会いに行くよと言ってくれたひとがいた。11歳年下の男。
バツイチ、同じ歳の子供がいる共通点のためか、話ははずみそのままラブホに入った。
ごく自然に話せるひとだった。ちょっとやんちゃな雰囲気を持っていた。SMAPの香取慎吾のような…。
金髪に近い髪の色も、なんとなく慎吾を思い起こさせた。

「ずっと手を握ってていい?俺こうするの好きなんだ。気持ちが伝わるようで」
指先に力を込めて抱きながら聞いてくる。
ぎゅっと抱きしめられた肩についた紅い痕が愛しかった。なんとなく「好き」という気持ちが伝わってくるようで、誇らしげに紅い痕を見せて歩いてみたりもした。

相手の休みの日には、たいてい会っていた。
趣味の友達とのアウトドアスポーツの合間に、私と会う時間を作ってくれた。高速を使っても片道1時間の距離。
Over The Distance。距離を超えて。

「今度の金曜日、お昼から会える?」
意外なメールが届いた。天候に左右される仕事ゆえ、通常は土日祝日が休み。天候不良が理由でない平日の仕事休みは、まず有り得なかった。
「どうしたの?平日に休みなんて珍しいね。ほんとに会えるの?」
「うん、会えるなら時間空けといて」

本当に会えるんだろうかといぶかりながら、金曜日を待った。

当日。空は青く青く晴れわたっていた。
こんなに天気がいい日なら、本当なら仕事をしてるはず。なのに何故。
約束の2時間前に、「今日○時でよかったんだよね?楽しみ☆」とメールを入れてみた。嫌な予感がしてた。

返事が来ない。 待ち合わせの1時間前、30分前、そして直前になっても。
急遽仕事になったのかしら。それにしても連絡がないなんて。いつもなら、今から出るよとかもうすぐ着くよとか、こまめに入れてくれる。
不安でいっぱいになり、ひたすら携帯を見つめても、メールは来ない。携帯番号を聞いておけばよかったと後悔しても遅い。

約束の時間を過ぎても、何の音沙汰もない。
何故返事が来ないの、何があったの、何が悪いの。

1時間が経った頃、ふと導かれるように知り合ったサイトの募集掲示板にアクセスしてみた。
――そこにあのひとがいた。「友達募集」で写メまでつけて。投稿時間は、あのひとが指定してきた待ち合わせ時間。

突然の終わり。
あのひとは何がしたかったのだろう。
サイトにわざと待ち合わせ時間に掲載することで、私に別れを告げたかったのだろうが…酷すぎる。

しばらく消えない紅い痕が、哀しかった。


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