夜空ノムコウ

長い付き合いだった元カレ。
連絡がなくなってずいぶん経つけど、どうしてるだろう。元気にしてるだろうか。彼女と幸せに暮らしてるだろうか。

５つ年下の元カレ。でも「彼」と呼べる期間はないに等しいほど短くて、連絡を取り合ってた歳月の殆どが、「身体の関係もある友達」としてのお付き合いだった。
でもその関係を「セフレ」とは呼びたくなかった。

「身体の関係もある」と書いたけれど、会って何時間も話しておしまい、という時もあって単なる「ヤレるから」という間柄ではなかった。友達であり姉弟であり、極端な言い方をすれば「同志」、本当に不思議な関係だった。
似てるお互いの性格を把握していて、ぶつかることも多々あったけれどそれでもうまくいっていたふたり。貴重な「友達」。
マックやロッテリアでポテトをつまみながら、町並みや人の流れを見ながらひたすらおしゃべりなんてしてた。
時にはクルマを停めて、景色を眺めながらそれぞれの彼カノのことを話した。

元カレの選曲はSMAP。「夜空ノムコウ」が流れてきた。
他に知ってる曲もあったはずだけど、この「夜空ノムコウ」しか覚えてない。静かに流れる海岸の空気に、この曲はぴったりだった。
鮮やかに光るイコライザーを見つめながら、元カレの心を推し量ろうとしていた。元カレにとって、私は、○○（本名）は何なんだろうと。
明るい午後の空のはずなのに、私の心の中ではあのSMAPのプロモがエンドレスで映し出されていた。

好きだった。元カレが、元カレと過ごす時間が。
白と黒の配色に、ゴールドのプリントの入ったベアトップ、贈ってくれたね。ありがとう。本当に嬉しかった。
会えなくなっても、忘れないよ。「夜空ノムコウ」のあの日、忘れないでね。


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このページの背景画像はAbundant Shineさまからお借りしています。