せつない恋

ひと晩限りのはずだった。
2日後に会った、それが最後のはずだった。

こんなに苦しい想いをするなんて、思ってなかった。

「彼」とは瑞穂の離婚直後、ツーショットで出会った。ちょうど2年前のお盆の頃。
第一印象は最悪だった。AVの音声を電話越しに聞かせるようなひと。
「なによこのひと〜(ムカ)」と思いながらサクラとして会話をしてた。
絶対会いたくないタイプだった。
まさかこの出会いが、瑞穂の転機になるとも思わずに。

夜だというのに、「これから会えない?」と聞かれた。
離婚直後の淋しさがあるとはいえ、ムカついてた瑞穂としては会うはずのないひとだった。
気がつけば、ふたつ返事でOKしてた。
何故会う気になったのか、今でもわからない。

相手はケータイを持ってないという。
連絡手段は伝言。
「君の好きな動物の名前を入れて、オープン伝言に入れておいて。
そしたら俺がそれに何時頃に待ち合わせるか入れとくから」


「お、これなら伝言のポイントがいくつかつくからラッキー☆」
不覚にもそれにつられてしまい、オープン伝言に「ねこです。先ほどはツーショットでありがとう。返事よろしくね」と入れてしまった。
蹴ろうと思えば蹴ることもできたけど、何故かそれをしなかった。

しばらくして伝言を聞くと、返事が入ってた。
待ち合わせ場所と時間を決め、相手はクルマで迎えに来た。
あまり印象は深くなかった。

奥さんとお子さんが帰省中で、そのひとひとりが仕事の関係で家に居たのだという。それでツーショットにかけてきたらしい。
この時期はよくあるパターン。
ほんとにひと晩限りの…なんだか淋しい、こんなのって。

「どうせこのひともひと晩限りのひと」
そう割り切るつもりで会った瑞穂。
その別れ際、「もしかしたら明後日、ヨメさんを迎えに行く前に会えるかもしれないから電話番号教えて!」と言われた。
言われるがままに、ピッチの番号を教えた。
期待と不安を抱えた状態で。
「結局このひともえっちしたいだけなんだよね」と思いながら。

2日後の夜、電話があった。
「この前くらいの時間になるけどいい?」と。
何故だかその言葉が嬉しかった。会える。
ドキドキしながらその時を待った。

闇に紛れて会いに行った。
トキメキの中で、でも一方でせつなさも感じながら。
「もうこのひとと会うことはないんだ」と。
別れる時の「君と会えて楽しかったよ」の彼の言葉とKissが胸を突き刺した。

もう会えないんだ…。
これが最後のはずだった。

それからどのくらい経っただろう、定期的に逢瀬を重ねるあたしたちがいた。
突然彼から「会いたい」と連絡があり、いつしかカラダだけでない、心の繋がりを求め合うふたりになった。
こんなに深い仲になるとは思ってもなかったふたり。
後から彼に聞くと、「何処か惹かれるところがあったから、また会いたいと思ったし電話番号を聞こうと思ったんだよ」と教えてくれた。

初めて出会った時は、こんなに続くと思わなかった。
こんなにせつない恋とは思わなかった。
目前に見える「異動」の言葉に怯えながら「不倫」という言葉に逆らいながら逢瀬を重ねるあたしたち。

別れの時期が近づいている。


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